セーラー服の由来とその歴史。その起源は海軍兵士の制服だった!
セーラー服といえば女の子の制服というイメージが定着していますが、このようなイメージは実はつい最近のものです。セーラー服の由来、歴史。これらを調べると、むしろ今付いているイメージの方が新しいもので違和感を覚えると言っても決して過言ではありません。そこで、セーラー服の由来と歴史に迫ってみるとしましょう。
セーラー服とは
セーラー服。言葉の響きから「セーラー」の「服」だとは分かるかと思いますが、そもそもセーラーとは海軍兵士を意味する言葉です。つまり、セーラー服の由来は「海軍兵士の制服」でもあるのです。
ちなみにその原型は1800年代前半で、イギリスによって生み出されたと言われています。当時はまだまだイギリスでも海軍には制服がなく、船によって艦長の趣味で制服を決めていたようです。そのため、同じ軍隊に所属しつつも任官されている船によって制服がまったく異なってしまったのです。事態を重く見たイギリス海軍本部は海軍共通の制服を作りたいとのことで登場したのがセーラー服だったのです。
当時のイギリスは産業革命を成し遂げた、いわば世界のリーダーでした。このような動きは世界に広まり、1858年にはフランスで、1862年にはアメリカでも採用されるようになりました。ちなみに我が国に於いても1872年、セーラー服が採用されたのです。ちなみになぜあのようなデザインなのかといえば、実は実践的なものだったのです。海兵隊である以上、時には船から身を投げ出される可能性がありました。その際、胸元が開いていた方が海に投げ出された時に泳ぎやすかったのです。これもまた、セーラー服が採用された理由の一つです。
話を戻しますが、当時日本は明治を迎え、西欧列強に負けまいと様々な面で西欧化が進んでいた時期です。軍隊への増強も行われていた時期なのですが、日本の海軍でも採用されことからセーラー服は広く民衆がその姿を見かけるようになったのです。軍隊と言えば多くの人の憧れ。つまり、セーラー服に対して憧れの眼差しを向ける人も多かったのです。そして1920年、京都の平安女学院にて人気の高まりから学校の制服としてセーラー服が採用されることになったのです。これを契機に日本全国に於いてセーラー服は女子学生の制服として普及していくようになったのです。
軍服ではなくセーラー服
イギリスでの話に戻しますが、イギリスでは海軍の制服として採用されつつも、民間のファッションとしても受け入れられるようになりました。とはいえデザインがデザインなだけに、まずは子供向けの服として普及するようになっていったのです。男女を問わずにセーラー服を着用。
男児の場合はズボン。女児の場合はスカート。このスタイルは言わばイギリスにおける子供服の定番と言われるようになり、19世紀には既に国内で浸透しつつありました。そして先にも触れたようにイギリスと言えば歴史的に見れば当時は世界のリーダーです。イリギスで流行した物は世界でも流行りますのでフランス、そしてアメリカにもセーラー服が民間にも流行するようになっていったのです。
近代とセーラー服
このような歴史があるセーラー服なのですが、近年はその姿を見かける機会が少なくなっていると感じている人も多いのではないでしょうか。。かつてはセーラー服といえば女子学生の制服の定番でした。ですが1980年代に入ると制服をカスタマイズする生徒が増えました。「不良」というには少々大げさですが、スカートの丈を長くするなど、制服の乱れが見られるようになったのです。そこで、このような改造を防ぐためにセーラー服からブレザーへと制服を変更する学校が増えたと言われています。
また、セーラー服の場合、ブレザーのようにワイシャツやカッターシャツの上ではなく、直接地肌に触れるので衛生面でも問題があると言われていたのです。当時はまだまだ現代程洗濯機が高性能ではありませんでした。それだけに、家庭での洗濯が難しかったのです。一方、ブレザーであれば中のワイシャツやカッターシャツを選択するだけで衛生さを保てたこともあり、次第にセーラー服からブレザーへと変更する学校が増えていったのです。
海外で人気のセーラー服
日本ではセーラー服は減少傾向にあるのですが、海外では人気が高まっています。コスプレの人気だけではなく、学校制服としてセーラー服を採用する所も増えているのです。特にタイや中国でこの傾向が目立ち、セーラー服を制服として採用したら倍率が高まった学校もあるほど。一方、台湾のように古くから日本同様にセーラー服を制服として採用している国もあるなど、セーラー服は歴史も含めて各国様々な事情があるのです。
おわりに
近年ではセーラー服というとコスプレを連想する人も多いかもしれませんが、由来を調べればとても由緒のあるものだということが分かるのではないでしょうか。セーラー服が好すきだという人は多いですが、今一度歴史を勉強するとまた違った気持ちが芽生えてくるかもしれませんね。